フォント、使い分けていますか?(前半)

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みなさんが普段なにげなく目にしている文章には、かならず「フォント」という属性がついてまわります。フォントとは日本語でいうところの「書体」にあたり、文字の見た目、ひいては文章の読みやすさを左右する重要な役回りを担っています。

みなさんが持っているパソコンにも、たくさんのフォントがインストールされています。やれ「MSゴシック」だの「MS明朝」だの「Arial」だの……なんとなく気分的に選ばれがちなフォントですが、そのなりたち・効用を知っていると文章の読みやすさが格段に変わってきます。

 

タイポグラフィというデザイン学

文字に関するデザイン表現のことを「タイポグラフィ」といいます。グーテンベルグによる活版印刷までさかのぼることができる、立派なデザイン上の学問でもあります。もともとは活版印刷術そのものをさした言葉だったようですが、現代では文字表現のデザイン処理全般をいうことのほうが多いでしょう。

書体の種類、大きさ、字間、行間、可読性……これらすべてがタイポグラフィの領域にあたります。みなさんのPC上にあるドキュメントを一つ開いてみてください。見出しはMSゴシック14ポイント、本文はMS明朝12ポイント……まさか本文を70ポイントにしている人はいないでしょう。これも立派なタイポグラフィです。それでは、実際にフォントの効果的な使い方を考えていきましょう。

 

日本語フォントの二大勢力「明朝」「ゴシック」

「明朝」「ゴシック」という字形の違いについては、みなさんにもおなじみのことだと思います。書道のようにトメ・ハネ・ハライがあるのが「明朝」(英語フォントでいう「セリフ体」)、それとは異なり、角ばった字形を持ち線の幅が均一なものが「ゴシック」(英語フォントでいう「サンセリフ体」)ですね。

もしお手元に小説の文庫版があれば(新聞でもかまいません)、開いてみてください。よっぽどデザインに凝ったものでないかぎり、本文には細めの明朝体が使われているはずです。このように印刷物の場合、長い文章には可読性の高い細明朝が採用されています。エヴァンゲリオンの各話タイトルみたいな極太明朝は、見出しなどで使われることが多いですね。

逆にPC上で目にするドキュメント(Webページなど)では細めのゴシック体がよく使われます。解像度の低い画面上ではどうしても明朝体が読みにくくなってしまうため、視認性の面からゴシック体が選ばれるのでしょう。プロジェクターで表示されることの多いプレゼン資料なども、視認性の高いゴシック体がむいているといえます。

 

いかがでしたでしょうか。なんの気なしに使っていたフォントですが、このように用途によって形が決まってくることがわかりました。次回後半では、具体的なおすすめフォントについて書いてみたいとおもいます。

 


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