高速道路の不思議な看板
当社が本社をかまえている愛知県豊田市から神奈川へ出張に向かう道中のこと。高速道路を順調に走行している只中にその標識はありました。
どちらも行先は東京。この二つの道の違いは何でしょう?
知ってるor知らない が運命の分かれ道!
神奈川へ行きたい私達は高速で車を走らせながら、先ほどの標識を見て瞬時に二つの行き先の違いを判断し、どちらを選ぶべきかを決めなければなりません。
高速道路事情を詳しく把握しているドライバーであれば難しいことはありませんね。右側は2012年の4月に開通した新東名高速道を走って東京へ向かうルート、左側はそれ以前から使われていた東名高速道路を走って東京へ向かうルートです。
新東名は東名と比べて道幅が広く、カーブもゆるやかで走りやすくできています。移動にかかる所要時間も短いため、東京へ向かうのであれば右の新東名を選ぶ方が楽に辿り着くことができるでしょう。
しかし、もしその辺りの事情をまったく知らないドライバーがカーナビもなしにここまでやって来たとき、この標識を見てどちらを選ぶべきか瞬時に決めることはできるでしょうか。迷っているうちに分岐に差し掛かり、どちらかを選んで走ったとしても、本当にそれを選んでよかったのかは東京へ着くまで分かりません。
事前に知識を持っている人にとっては簡単なことでも、何も知らない人が同じものを見たとき、同じように迷わず判断ができるとは限らないのです。
知らなくても分かる、をゴールに
標識で例をあげましたが、実は身近なマニュアルや技術資料でもそのような現象は起こりがちなのです。
もちろん、高速道路の標識は標識のルールに従って作られているため、写真のとおりの表示で何の問題もありません。
でも、作り手が当たり前と思っている知識を読み手が持っていないために、せっかく書いた内容が伝わらない、理解してもらえない。そんな技術資料を作るときに起こりがちな問題を解決するには、その資料を読むのに必要となる知識には何があるか、資料を見ると想定される人がその知識を持っているかどうか。その辺りをきちんと整理しながら制作を進めなければなりません。
自分が知っているとついつい見過ごしてしまう。そんな作り手と読み手の齟齬を埋められるように努めていきたいですね。
-
前の記事
接続詞の使いどころ 2017.04.17
-
次の記事
Jアラートに見るマニュアルの必要性 2017.06.19