二重否定は使わない理由
2017.01.16
マニュアル
話し言葉でよくつかわれる二重否定。否定の言葉を二度重ねて用いることで、肯定の度合いを強めたり、婉曲に肯定したりする修辞技法のことを指します。
- その提案については、譲歩できないこともない
- あの環境では、いい文章が書けないとも限らない
- あなたのおっしゃることはわからないでもない
上記例文でわかるとおり、二重否定を用いることで文章の意味が曖昧になってしまいます。
否定×否定=肯定?
そもそも否定を否定するわけですから、文意は肯定になるはずです。けれども「まわりくどい肯定」「否定に近い肯定」を表したいときに、つい二重否定を口にしてしまうのです。
「微妙なニュアンスを表現したい」「相手を煙に巻きたい」といった意図は、マニュアルなどの技術文書にはそぐわない表現であると言えます。
強い肯定表現
- 彼がお酒を飲まないはずがない
- 走り出さずにはいられない
- この小説は涙なしには読めない
上記例のように、肯定表現を強める場合にも二重否定が使われます。こうしたレトリック(巧みな表現をおこなう技法)も、技術文書には不要です。
有名な二重否定
The Rolling Stones “SATISFACTION” のフレーズがそうですね。
I can’t get no satisfaction.
この文章は「満足なんてできるわけない!」といった否定の強調を表します(ややスラング的な語用ですが)。このように二重否定は複雑な文章であるがゆえに、さまざまな意味を含むことができます。技術文書には明晰さが必要ですから、否定は否定、肯定は肯定、シンプルな文章作成を心がけましょう。
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