マニュアルに起承転結はいらない
「なんだかこのマニュアル、要点がわかりづらい……」
「マニュアルの構成って、どうすればいいの?」
そんなお悩みを抱えるあなたにお届けする、今回のエントリー。
ズバッと言ってしまうと「結論を最初に書く」ことが重要です。
いったいぜんたい、どういうことなのでしょうか。
物語とマニュアルの違い
みなさんが普段慣れ親しんでいるドラマやアニメ・小説などには物語があります。物語は往々にして起承転結を踏まえたプロット(物語の筋)になっており、視聴者(読者)は物語の山あり谷ありに一喜一憂することで楽しみやカタルシスを見出しているという仕組みです。
けれどもマニュアルは物語ではありません。マニュアルは客観的事実をもとにした対処法や進めかたが記載されたものです。望むべくはやる気や創意工夫をうながす仕掛けがほどこされた、どちらかというと論文にちかい体裁のものになります。論理的に筋道だった文章が求められ、過度な比喩や文章の装飾などは不必要です。そこではなによりもまず「結論」が重要であるため、一番最初にもってくるというわけです。
「桃太郎」を例にとってみましょう。
- 桃から生まれた桃太郎は鬼退治へ向かいます(起)
- おばあさんのきびだんごで犬・猿・キジを仲間にします(承)
- 鬼が島へのりこみ、鬼を退治しました(転)
- 鬼から宝を奪い、ハッピーエンド(結)
ところがマニュアルにおいて起承転結はふさわしくありません。物語構造を捨て、結論ありきで書いてみましょう。
- 桃太郎が宝を得た方法を説明する(目的:利益の獲得)
- 鬼が島の鬼を退治すれば宝を得られる(目的のための手段)
- 手段遂行のため犬・猿・キジを仲間にする(必要なツール:キビダンゴ)
- キビダンゴはおばあさんから入手する(入手方法:おねだり)
なんだか桃太郎がお宝目当ての守銭奴のようにみえてきましたが…ともあれ、宝を得る方法論がマニュアルとして完成しました。マニュアルでは物語的起伏などまわりくどいだけであって、不要と言えます。結論・重点・全体像を最初に述べることで、マニュアルを読む人の理解をたすけ、そのマニュアルのポイントがきちんと「伝わる」ことになるのです。
結論ありき、を実践してみる
昭和の傑物、田中角栄氏はこのようにのたまっています。
初めに結論を言え。理由は、三つに限定しろ。
マニュアルを読んでみて、なんだか論点があいまいだったり、ポイントがつかみづらかったりするときは、意図せず物語構造を採用してしまっているのかもしれません。まずは結論ありき、この論文構造を念頭に作り直してみてください。きっと、わかりやすいマニュアルに生まれかわること間違いなしです。
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